今年一番印象に残った本


年の瀬で、
今年読んだ本の中で一番よかったのは何かなと本棚を見回してみた。


専門書、教科書の類はおいといて、一般書は今年出版の本ではないけれど


長倉洋海、ヘスースとフランシコ(エル・サルバドル内戦を生き抜いて)
2002年、福音館書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4834018857/qid=1134907987/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/503-9027531-2495132


が、頭一つでているかな?ほんと、他の本もいい本たくさんあったんだけれども。
この本は、フォトジャーナリストの長倉さんのこの本の主人公である、
ヘスースへの取材をまとめた一冊。


1982年にエル・サルバドルの難民キャンプで、
出会った少女の成長を度重なる取材で追い続けた作品。
とても、貧しい難民キャンプで、笑い、泣き、怒り、
懸命に生きる少女が、難民キャンプから抜けだして、
結婚、出産とささやかな幸せを手に入れるまでがまとめられている。


人間とはかくもたくましいものかと、
僕はヘスースと同年代だけど、彼女はこんなにも生きている、
素晴らしい人生だとちょっと涙が止まらない。


ほんと、俺何やってんだろう?ぬるま湯な人生を歩んでいる。
僕、長倉洋海さんが大好きなんです。
戦争の悲惨さとか陰惨さを、ことさら前面に出すんじゃなくて、
その裏側で、それでも人間は楽しく夢を持って生きていけるんだという、
そういう人間のたくましさを伝えてくれる。
希有な、フォトジャーナリストです。
今年は、NHKの「シルクロード」の企画で同行してたみたい。


それと、この本はサイン本なんです。本人の某書店で行った写真展のとき
彼にサインもらいました。



これと、オリバーストーンの「サルバドル」(1986年)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001N1LQS/qid=1134908963/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/503-9027531-2495132


をかさねて観るともう、ねぇ。


どうぞ年末お暇ならこのコンボで、1600円と999円でちょっと、
違う世界が開けるかも。

  学生:レビナス先生テレビでアフリカの飢餓の映像をみると、
     たとえばラーメンのつゆを残すことに責任を感じてしまうですが、
     気が弱い性でしょうか。


レビナス:そうだね私の他者の哲学だね。
     それでいいんだよ。君は自由に主体的に、
     君の意志としてその責任を引き受けるのではない。
     いいかね?
     君の自由が君の意志と無関係に責任を引き受けてしまうのだよ。


  学生:ところがそこへ黒柳テツ子さんが現れると、
     突然シラけて無責任になれてしまうんですが・・・・・・


レビナス:それはクロヤナギが他者ではなく赤の他人だからだろう。
     私の専門の彼方だね。


いしいひさいち現代思想の遭難者たち、2002年、講談社、p97